水道管が破損し、浸水する被害が相次ぐ中、各地の自治体では管理する水道管に異常がないかを調べる緊急の調査を行っています。
このうち、大阪・堺市では、市の職員らが老朽化した水道管およそ8.5キロ分の調査にあたっています。
水道管が破損し、大規模な浸水が発生する被害は、▼先月(4月)30日に京都市の国道で起きたほか、▼今月(5月)10日にも、大阪・城東区の住宅街にある市道でも起き、周辺の道路などが冠水しました。
漏水した水道管は京都市では設置からおよそ65年、大阪・城東区ではおよそ60年がたっていて、ともに老朽化したことで破損したとみられています。
京都市の被害を受け、各地の自治体では京都市で破損したものと同じタイプの老朽化した水道管について、漏水などの異常がないかを調べる緊急の調査を行っています。
このうち、大阪・堺市ではあわせて8.5キロ分の調査を13日から始めていて、市の水道局の職員らが対応に追われています。
14日は職員4人が水道管が設置された国道沿いを歩きながら、▼路面に水漏れが起きていないかや、▼水道管につながる消火栓や止水栓のふたを開けて漏水が起きていないかを目視で調べていました。
堺市によりますと、水道管の調査は市内およそ500キロ分を2年間かけて行っていますが、年間で50件ほど、新たな漏水が見つかっているということです。
堺市上下水道局水道部の奥川正之 参事は「老朽化が進む水道管は漏水がいつ起こるかわからない。事故後、すみやかに対応できる体制を整えつつ、より効率的に調査が行える新たな方法にも取り組むことにしている」と話していました。
【水道管漏水早期発見に人工衛星とAI活用】
市民の生活に大きな影響が出る前に、水道管の漏水を早めに発見するための取り組みが大阪・摂津市で行われています。
それが、「人工衛星」と「AI」を組み合わせた対策です。
人工衛星から地面に特殊な電波を照射し、地中で漏れた水道水特有の反射波のデータから、水道管の漏水が疑われる地点をAIが解析するシステムです。
水道管の漏水の可能性がある場所を半径100メートルの範囲で特定することができ、その範囲にあるものを黄色で示す仕組みです。
摂津市ではこれまで漏水の検査は現場まで職員が行き、音を確認して判断していましたが、作業には多くの時間がかかっていました。
そこで、市ではことし1月から現行の手法と組み合わせる形でこのシステムを活用した調査を始めていて、より可能性の高い場所を優先的に調べることで調査の効率をあげたいとしています。
摂津市水道施設課の名古屋幸祐 課長は「示された範囲の中に水道管の漏水がある可能性はだいたい4割から5割くらいで、漏水の発見率の向上に期待しています。道路の冠水などが起こると市民生活にも影響が出るのでその前に漏水を発見していきたい」と話していました。